連作障害とは、同じ場所に繰り返し同じ種類の作物を栽培することで起こる土壌および植物の問題です。この現象により、作物の生育が阻害され、収量が低下することが知られています。持続可能な農業実践の一環として、連作障害の理解と対策が重要となります。
連作障害とは?
みなさん、お庭や畑で植物を育てたことはありますか?植物を育てるとき、同じ場所に毎年同じ野菜や花を植え続けると、その植物は元気がなくなってしまうことがあります。これを「連作障害」と言います。
連作障害が起こる理由は以下の通りです。
- 栄養素が足りなくなる
- 病気や害虫が増える
同じ植物をずっと植えていると、その植物が必要とする栄養素だけが土からなくなってしまい、植物が健康に育たなくなります。
極端な話、窒素を多く必要とする野菜を育てた場合、窒素が土からなくなってしまい、次に育てる野菜が必要とする窒素が足らなくなり、野菜が元気に育たない現象が起きます。
また、同じ植物には同じ病気や害虫がつきやすいです。毎年同じ植物を植えると、その病気や害虫が土の中に増え続け、植物が病気にかかりやすくなります。
このように、同じ場所に毎年同じ野菜や花を植え続けてしまい、野菜や花が育たない現象を「連作障害」と言います。
連作障害を防ぐには?
毎年同じ植物ばかり植えていると、その植物は疲れてしまいます。
今年はトマト、来年はキュウリ、その次はレタスといったように、違う植物を植えてあげることで連作障害を防ぐことが出来ます。これを「輪作」と言います。
輪作とは、同じ場所に同じ種類の作物を連続して栽培しない方法です。異なる作物を計画的に回して植えることで、土壌疲労を防ぎ、病害虫の発生を抑制します。作物ごとに異なる栄養素を消費し、異なる病害虫に対する抵抗性を持つため、土壌のバランスが保たれ、連作障害を予防できます。
土壌改良を行う
有機物の追加(例:堆肥、腐葉土など)は、土壌の物理的・化学的・生物的特性を改善し、栄養バランスを向上させます。これにより、連作障害のリスクが減少します。土壌の構造が改善されると、水はけと通気性が向上し、根の健康が促進されます。
適切な肥料管理をする
作物に適した肥料を適切な時期に施用することが重要です。特に、過剰な窒素肥料の使用は避け、バランスの取れた肥料を使用することで、健全な植物の成長を促し、病害虫のリスクを低減します。
過剰に窒素肥料を使用してはいけない理由は、後程紹介します。
土を耕し休ませる
同じ場所に植物がいると、土が固くなって根が伸びにくくなります。時々は土を耕し、植物の根がスーッと伸びやすいようにしてあげることも大事です。
また、一定期間、特定の畑に作物を植えずに休ませることで、土壌が自然回復するのを助けます。
窒素過剰(窒素過多症状)には気を付ける
窒素過剰は、土壌や植物に窒素が多すぎる状態を指し、植物やその周辺環境に様々な影響を与えることがあります。窒素は植物の成長に必要不可欠な栄養素ですが、過剰になると問題を引き起こすことがあるので注意が必要です。
窒素は葉の成長を促進しますが、過剰になると根や花、実の成長がおろそかになることがあります。結果として、植物全体のバランスが悪くなります。
また、窒素過剰な植物は、病害虫に対する抵抗力が弱まることが知られています。
肥料を追加する際は、過剰に窒素を追加しないように、バランスの取れた肥料を使用することで、健全な植物の成長を促し、病害虫のリスクを低減します。